【試合評】コボスタの中に1人だけメジャーリーガーがいた~2014年7月9日(水)●楽天イーグルス1-2日本ハム

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コボスタの中に1人だけメジャーリーガーがいる



2014.7.9──

17分間の一時中断を挟んだ雨中の3時間6分は、大谷翔平の独擅場になった。

コボスタの中に1人だけメジャーリーガーがいる。

試合途中、私はTwitterでそう呟いたが、9回4安打16三振1失点、113球の完投勝利は、まさにそんなイメージのゲームになった。

両軍のスタメン

日本ハム=1番・西川(左)、2番・大引(遊)、3番・陽(中)、4番・中田(指)、5番・ミランダ(一)、6番・小谷野(三)、7番・石川慎(右)、8番・大野(捕)、9番・中島卓(二)、先発・大谷(右投)

楽天=1番・松井稼(三)、2番・藤田(二)、3番・銀次(一)、4番・ジョーンズ(指)、5番・ボウカー(左)、6番・岡島(右)、7番・西田(遊)、8番・小関(捕)、9番・牧田(中)、先発・辛島(左投)


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先手は楽天。期待高まる電光石火の得点劇だったが



しかし、この試合、先手を取ったのは昨日爆勝を収めたイーグルスである。電光石火の先制劇は、先発・辛島がピンチをしのいだ後の1回裏のことだった。

本戦も1番・松井稼が魅せた。

大谷が外内と150キロ超えを投げ分けてきたその内球を叩いた。ゾーンは好物のインコース低め。芯で捉えた一撃は右中間を襲う悠々二塁打で出塁。2番・藤田が初球でしっかり送りバントを決めると、3塁に進んだ松井稼をホームへ呼び込んだのは、同郷対決を制した元気印の銀次だった。内角155キロを振り抜いた当たりは、右前に弾む先制打。1塁に達した銀次がベンチに向かってBurn!をする。

今日もいけるのでは? 大谷の真っすぐがさほど走っていないのでは? そんな期待を抱かせてくれる僅か5球の先制劇になった。

しかし、点を取られてから目の色変わったのは大谷だった。

2死後ボウカーにぶつけて2,1塁、再度チャンスを作ったイーグルスはバッターボックスに岡島。チームで1,2を争う粘り技術の打者が、成す術なしの3球三振。エグイほど落差があったフォークを膝元に決められ、凡退を余儀なくされていた。

1点の援護を貰った先発・辛島。直後の2回表はゼロに締めたいイニングだった。先頭は5番・ミランダ。フルカウントから甘く入った失投スライダーを有無を言わさぬ飛距離で右翼席へ放り込まれてしまう。この打席ボール先行2-0を経由していた。

追いつかれてしまった辛島は1死後、連打で再び2,1塁のピンチ。中島卓、西川の左打者に対していずれもボール先行投球になったものの、連続三振で要所をしのぐ。

序盤1、2回ピンチを背負った辛島が3回表、2番から始まる相手打線を三者凡退に仕留めた直後、味方が再びチャンスを作ることに成功している。

3回裏は1番・松井稼から始まる好打順。

切り込み隊長がここでも活路を切り開く初球打ちを右前へ弾き返すと、2番・藤田も初球でバントを決めて1死2塁。良い流れで中軸の前にお膳立てを整えたイーグルスだったが、3番・銀次が投ゴ、4番・ジョーンズは空三振。いずれも僅か2球で追い越まれ、無駄球なしの3球目に仕留められるという大谷の超ストライク先行投球の餌食になっている。

味方が2点目の好機を逸した直後の4回表、辛島は1死から小谷野に左前へ弾き返されたが、後続を6-4-3の併殺網にかけ、僅か8球でこのイニングを終わらせた。序盤ピンチで球数を要し、過多気味になっていた球数を巧く調整した。

5回表、1死後に中島卓に安打&二盗されピンチを招いた辛島。しかし、打席上の西川、大引に変化球を打たせてゴロ凡退。要所を締める好投が光る。

その裏、楽天は先頭の8番・小関が遊撃内野安打で出塁。牧田進塁打で1死2塁、得点圏で確変中の松井稼に打席をまわすという理想のかたちを作ることに成功する。

ここでスイッチがバチッと入った大谷と、6打席連続安打中の松井稼。ガチンコ勝負は7球目までもつれたが、最後は松井稼が高め158キロを振らされ、空振り三振。この三振が藤田、6回の銀次、ジョーンズ、ボウカー、7回先頭の岡島まで続く6者連続三振劇の幕開けになった。

7回裏、先頭・岡島が落差大のフォークに完全腰砕けの三振に倒れると、西田はどうにかバットを球に当てる打撃も平凡な遊ゴ、2死走者なし、8番・小関の打順で大久保代行がラッツを代打に送る。

7/3以来、死球打撲で出場のなかったラッツだったが、それまでの戦績は御存じのとおり。好球必打の幸運ラッツに突破口の一撃を期待したシーンだったが、良い当たりもセンター左、故障から帰ってきた陽岱鋼の守備範囲に収まってしまう。

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リスクをかけた大久保采配が2失点目につながった



決勝点が入ったのはその直後、8回表のことだった。

楽天は小関に代打を送ったことから、この回からマスクは嶋。相手は1番から始まる好打順だった。

西川を1-2と追い込んだ後、変化球投球がはずれて1塁に歩かせてしまう。2番・大引に初球バントで送られ1死2塁、3番・陽との対決は、思わずうっとりするほどのインコースの厳しい出し入れで2-2までカウントを作ると、1球低めチェンジアップで誘いをかけてボール、フルカウント勝負にもつれていた。

私はこの場面、もう1球チェンジアップを低めに落とすべきだと考えていた。今度はフルカウントだから陽も対応せざるをえない。かりに見送られて四球になっても1塁は空いていたので、1死2,1塁から仕切り直しをすればよい。4番・中田も辛島に全く合っておらず、5番・ミランダには一発をくらったが、その後の打席では凡退に仕留めていた。

しかし、嶋が選択したのは再びインコース。同じコースを執拗に続ける嶋特有の配球が裏目に出た。

内角に投げ込まれた136球速球に対し、今度は陽が左前に弾き返していった。2-2までのインコース投球に対し、全く打ちにいくそぶりをみせずに見送っていた不気味な陽だった。あの場面はインコースを狙っていたと言える打撃になってしまった。2-2までの厳しい攻めより甘くなった投球を測ったように打ち返されてしまった。

良い流れで日本ハム打線を抑えてきた辛島─小関のバッテリーを直前攻撃回で代打で解体していた大久保代行。解説・松本匡史氏が指摘したように、捕手を代えたことでそれまでの良い流れが絶ち切られてしまったと言えるシーンになった。

当然、大久保代行も捕手を代えるリスクは承知していて、そのリスクを背負ってまで流れを引き寄せるべく代打ラッツの打棒に期待したということだった。試合後の会見でも「(8回にキャッチャーを代えたことで)流れが変わり点を取られることなったけど、(代打で起用した)ラッツの一発に賭けたわけだから、あとは僕の采配の責任です」とその決断を振り返っている。

しかし、これまた解説・松本氏も首をかしげていたように、2死走者なしで代打ラッツを送る意味はどれだけあったのか?

回を増すごとに凄みを増していた150キロ超えに対し、長距離打者でもないラッツがスタンドまで持っていけるとは、私には到底思えなかった。走者有の場面で幸運ラッツの代打カードを切るべきではなかったのか?とも思う。ただ、この後、大谷の前に走者を出すことができたか?と言われると、その可能性もまたかなり低かったのも事実である。

1-2の1点ビハインドで迎えた9回裏、楽天は3番・銀次から始まるクリーンアップトリオの攻撃。

しかし、100球超えしてきた大谷の凄みは最後まで落ちることはなかった。銀次は当てるのが精いっぱいの遊ゴに倒れた後、ジョーンズはこの日4三振。ボウカーはホットゾーンのストライクゾーン外角高めに投げ込まれた本戦最速タイ159キロに空振り、大谷の奪三振が16にまで伸びる結末でゲームセットを迎えている。

これでチーム成績は76試合31勝45敗、借金は再び14へ。順位は6位変わらずも西武がロッテを降したことで4位・5位が入れ替わりライオンズが4位浮上をしている。ゲーム差は1位・ソフトバンク、2位・オリックスと15.0、3位・日本ハムと8.0、4位・西武と2.5、5位・ロッテと2.0としている。

直近10試合4勝6敗、大久保代行3勝4敗、日本ハム戦6勝5敗、1点差試合7勝10敗。



9回、打者32人、113球(1回当たり)、被安打4、被本塁打0、奪三振16、与死球1、失点1、自責点1。

初球32球・・・ストレート13、スライダー6、フォーク7、カーブ6
2ストライク以降36球・・・ストレート16(うち7球で空振り)、スライダー2(うち1球で空振り)、フォーク17(うち7球で空振り)、カーブ1

贔屓の球団の枠を超えて周囲を酔わせた113球完投劇



二十歳になって初のマウンド、9回113球の完投勝利を収めた大谷は試合後のヒーローインタビューで爽やかな笑顔を見せて「凄く嬉しいです」と語った。

楽天は大谷と今季2度目の対決になった。前回は4/20(●E2-4F)の一戦。しかし、約3カ月前の大谷翔平と約3カ月後の大谷翔平では、短期間のうちに数段レベルアップしていて、全く別人のように感じられた。

4/20のストレート平均球速は146.4キロ、最速154キロ。本戦では平均155.1キロ、最速159キロ。ストレートの球速だけでこれほどの差があるのだから、いやはや、恐れ入りました。

超ストライク先行が、楽天の打者に自身の打撃をさせなかった要素の1つになった。全体ストライク率は77.9%。初球ストライクを取って優位に立ち、3球目で追い込むことに成功していた大谷に対し、イーグルスの打者ができる精いっぱいのことはバットに球を当てるだけだったのだろう。しかし、それすらもさえてもらえなかったのだが。

中でも快投大谷を象徴するシーンは4打席連続空振り三振に倒れたAJとの対決だ。

4/20対戦時は楽天1点を追いかける6回裏2死2,1塁でAJとバチバチのガチンコ勝負を繰り広げた。あの対決、ラストは高め154キロにAJが空振り三振に倒れたが、軍配はどちらに上がってもおかしくないシーンだったように思う。

しかし、本戦におけるAJは完全に大谷の投球に翻弄されていた。上から目線を強いられ、あれほど後手後手にまわり、投手に思うように振りまわされてアタフタしたAJは来日後初めて目撃したかもしれない。

合計14球投げ込まれ、8球で空振り。ファウルを打つことすらできずに終わったAJは、試合後、「素晴らしい投手だ。脱帽するよ。真っすぐに加えて、フォークもキレていた。縦のカーブも良かった。あれでは打つのは難しい」という脱帽コメントを発表している。

イーグルスの打者は、球威のある高め速球+落差大で低めに絶妙に決まるフォークの組み合わせに後手後手にまわり、終始泳がされっぱなしだった。

その空振り率は、113球を投げて32個の空振りで、驚異の28.3%!

昨年の田中の試合別最高空振り率は5/14DeNA戦(8回128球7安打3失点)の18.8%だったことを考えると、この28.3%がどれだけ凄いのか?理解できる。楽天の打者で空振りをしなかった者は1人とておらず、エンジンが完全にかかった3回以降ではその数字は31.4%にまで上昇。2ストライク以降は41.7%にまで跳ね上がっていた。6回3番・銀次の3球目から4番・ジョーンズの三振結果球まで5球連続で空振りを奪うなど、随所に見せ場を作っている。

32球の空振りを左右打者別にゾーンに起こしてみた。高め速球と低め変化球を振らされていたのが実に良く分かる。AJ、西田、牧田、小関、ラッツの右打者は実に41.7%の空振り率を余儀なくされた。

■左右打者別ゾーン空振り図
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辛島航ベストピッチ。勝負球チェンジアップ冴える



8回、打者31人、111球(1回当たり13.88)、被安打7、被本塁打1、奪三振6、与四球1、失点2、自責点2。

初球31球・・・速球14、スライダー/カット7、チェンジアップ4、カーブ6
2ストライク以降29球・・・速球13、スライダー3、チェンジアップ13(7打数0安打4三振)

中5日のマウンドになった。ここまで中5日の成績は4戦4敗、防御率6.85とかんばしくない結果の辛島。その登板間隔の短さが心配されたが、本戦ではナイスピッチングを披露した。試合途中に届けられた羽村亜美さんのベンチリポートでも、中5日の場数をかさねるごとに徐々に慣れてきたと語っている。

直近2試合で初回失点をしていた辛島は、初回から全力でいきたいという決意でマウンドに登っていた。この決意が序盤1、2回ピンチを招きながらもミランダソロ弾だけで要所を押さえることができた活力源だったのだろう。速球もいつも以上に球速が出ていた。平均136.2キロは今季最速を計測していた。

7回まで1失点に抑えた好投は、試合後、大谷に辛島さんもヤバイほど好投していたと語らせるほどのベストピッチになった。その原動力の1つは、勝負球チェンジアップである。

すこぶる機能した。恐らく腕も良く振れ、球自体もキレていたのだろう。日本ハム打者のチェンジアップの球種別打率は11打数ノーヒット4三振の.000。ゴロ率も71.4%と高く、2本の併殺打をチェンジアップで獲得していた。

一般には失投と言える中段以高のチェンジアップ。この甘いと言えるチェンジアップも6打数ノーヒット1三振。中田を始め多くの打者が辛島のチェンジアップにタイミングが合っていなかった。

辛島は辛島の仕事を十分に全うした。しかし、相手が異次元すぎたということになる。

■配球図
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