【検証】 今季導入されたコリジョンルールで、いったい何点増えたのか?
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【検証】 今季導入されたコリジョンルールで、いったい何点増えたのか?
こんにちは。信州上田在住、郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天を応援する野球ブロガーの@eagleshibakawaです。
2016年プロ野球も開幕して約1カ月が経ちました。
このタイミングで、今季から導入されたコリジョンルールの影響を検証してみたいと思います。
ここで改めてコリジョンルールとは何ぞや、そのおさらいになります。
本塁での衝突防止を目的とした新ルールということは皆さんご存知ですよね。
詳細をスポニチアネックスさんの記事から引用します。
新ルール導入を受け、開幕前には評論家、解説者、市井の野球ファンらが「野球が変わる」と口酸っぱくしました。
審判団がキャンプ中の各球団をまわる説明行脚が行われましたが、オープン戦の頃から、グレーゾーンの判定も目立ちました。
確かに新ルールでは捕手はブロックをできませんから、走者が有利になると予想されました。
評論家の西本聖氏もこのように申しており、ゴロゴーでの3塁走者生還やスクイズでの得点などが増えるのでは?という下馬評でした。
では、実際、どのくらい得点が入りやすくなったのか?
コリジョンルール導入がもたらした得点増は何点分なのか?
そのこと幾つかのデータをもとに検証してみたいと思います。
まずは、こちらの表をご覧ください。
前年比0.28得点増こそ、コリジョンルールで増えた得点だ
こちらは、2013年~2016年までのパリーグにおける、OPS平均値の推移と1試合平均得点の変遷を表にまとめたものになります。
御覧頂いたとおり、極端な投高打低が是正された2013年以降、リーグの得点環境は、例年、判を押したかのような同推移でした。OPS平均値は.702~.708の間に収まり、1試合平均得点も4.01~4.02です。
その前の、あまりにも飛ばない統一球導入の2年間はOPSは.656~.658、1試合平均得点は3.41~3.37の推移でしたから、この3年間の安定したリーグ環境を再確認できるかと思います。
しかし、今年、まだ4月を終えた時点(正確には5月1日終了時)というサンプルの少なさは考慮にすべきでしょうが、「変化」が生じています。
例年と比べてやや低いリーグ平均OPSは誤差の範囲内だと思います。今後是正され、例年どおりに落ち着くかと思われます。一方、1試合平均得点は前年比0.28得点の増加になりました。
この0.28得点。正直ピンと来ませんが、143試合の単純換算だと、各球団約40得点アップ。リーグ全体では年間240得点増えることになります。
1試合で増えたこの0.28得点の正体こそ、コリジョンルールの影響で増えた得点と言ってよいでしょう。
というのも、パリーグの環境は昨年とほとんど変わりませんから。楽天のkoboスタ宮城が天然芝に生まれ変わり、西武プリンスドームの人工芝が新しくなりましたが、リーグ全体で見ればその影響たるや微々たるもの。ソフトバンクがヤフオクドームにホームランテラスを新設した2015年のリーグの得点環境は、前述したとおり前年とほぼ同推移でしたから。
ちなみに参考までに、飛ばなさすぎる統一球が是正された2013年の得点は、前年比566点増の3477得点になりました。そのため、この年間240得点増加ペースという衝撃は、より身近に感じられるかと思います。
次に、もっと細かく、局面ごとのデータを確認してみたいと思います。
2塁走者の本塁生還率をチェックしてみましょう。
走者2塁(満塁、3,2塁、2,1塁を含む)、打者の外野単打で2塁走者がホームインできた比率になります。
2塁走者本塁生還率は前年比4%UP
昨年の4月30日終了時ではリーグ平均64.3%だった本塁生還率は、今年の同時点で68.4%。約4%の上昇になりました。この数字、4月中旬に確認したときには70%を越えておりました。
球団別の数字を見ると、随分とバラつきがあります。劇的に上昇したのがロッテと楽天。逆にダウンしてしまったのが日本ハムと西武。前年同推移はソフトバンク、オリックスと三者三様。これは置かれた状況、走者の能力はむろんのこと、首脳陣の性格や作戦方針も影響しているものと思われます。
例えば、楽天の真喜志三塁ベースコーチは、コーチャーズボックスの中で、かなり攻める指示を走者に送っています。石橋を叩いて渡るのがお好きな監督さんなら、新ルール導入のメリットを頭では理解していても、いざ実戦ではなかなか思い切った采配を振るえず・・・ということはありそうです。
コリジョンルール導入のため、今季は同状況で2塁走者の本塁突入を阻止すべく外野からの直接・間接問わずバックホームが随分と減った印象を持っています。今季の楽天戦で両軍合わせて同状況でバックホームが実施されたのは、わずかに2度だけ。本塁返球で憤死した2塁走者はゼロになっています。
本塁返球が減り、外野返球が内野中継止まりが増えた背景には、本塁返球間に打者走者に二進されるのを嫌ったという側面は大きいかも。本塁でタッチアウトできず、打者に2塁まで進まれてしまったら元も子もありません。守備側にしてみれば厳しい新ルールの導入で、本塁で刺す確率は下がったのだから、リスクを抱えて本塁に投げるよりも、打者走者を1塁にとどめて次なる失点回避に動きたい。そういう狙いがあるものと思われます。
さて、この各球団別の2塁走者本塁生還率、今後も追いかけていきたいと思います。
次に、犠飛数を比較してみましょう。
これも、今季は浅めの外野フライでも、外野手の送球が逸れることを期待し、積極的にタッチアップにくるケースが増えるのでは?と指摘されていました。
前年比118%増になった犠飛数
こちらも球団別ではバラつきがありますが、リーグ全体では39本から46本へ増えています。
そう言えば、ロッテ・ナバーロの好走塁には驚かされました。
まさか遊飛で3塁からタッチアップ、本塁生還するとは驚かされます。
最後に、内野ゴロ時に3塁走者がホームに帰ってきた数を見てみましょう。
ここで言う内野ゴロとは狭義の意味の他、併殺崩れの内野ゴロも野選がついた内野ゴロも含まれます。(エラーは対象外)
前年比184%増の内野ゴロ三塁走者生還数
こちらは6球団中、ソフトバンク、西武、オリックス、楽天の4球団で前年増になりました。リーグ全体では前年比184%UPです。
今季は例年以上の内野前進守備を敷いて勝負にいくか、もしくは3塁走者の1点は諦めてそれ以上の失点を防ぐかの両極に分かれてきている印象を受けます。
例年以上の内野前進守備といえば、開幕戦のkoboスタ宮城で見せたソフトバンク内野陣が印象に残っています。内野陣は芝生の部分に足を踏み入れるほどの前進守備でした。
コリジョンルール導入での得点増加が推測されるシーンは他にもあります。
例えば、二塁打での1塁走者本塁生還率やスクイズでの生還数なども挙げられます。
それらを含めると、確かにチリツモで年間40得点増にはなりそうなイメージが湧いてきます。
以上をまとめると、リーグ平均OPSは変わらない中、コリジョンルール導入により、1試合平均得点は前年比0.28増になった。年間ペースで各球団40点の増加、リーグ全体では240点増える計算になる。2塁走者の本塁生還率、犠飛数、内野ゴロでの3塁走者生還数も前年を上回っており、新ルールがもたらした「変化」は無視できないものになっている、と言えそうです。
セイバーメトリクスでは10点=1勝分の価値とされていますから、年間で各チーム約40点増のペースは、かなり大きいと言えるでしょうね。
セリーグは皆さん各自でお調べ下さい。こちらからの報告は以上です。
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【検証】 今季導入されたコリジョンルールで、いったい何点増えたのか?
こんにちは。信州上田在住、郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天を応援する野球ブロガーの@eagleshibakawaです。
2016年プロ野球も開幕して約1カ月が経ちました。
このタイミングで、今季から導入されたコリジョンルールの影響を検証してみたいと思います。
ここで改めてコリジョンルールとは何ぞや、そのおさらいになります。
本塁での衝突防止を目的とした新ルールということは皆さんご存知ですよね。
詳細をスポニチアネックスさんの記事から引用します。
◇本塁上の衝突ルール◇
【基本規則】
(1)走者が守備側への衝突禁止
(2)守備側は走者の走路をふさいだりブロックすることの禁止
※審判員が必要とした場合はリプレー映像による検証で判定を変更する
【警告による退場について】
走者は2度目、守備側は3度目の警告で退場。悪質な場合は一発退場
※警告数は次試合には持ち越されない
※捕手で2度受け、一塁手に回り1度受けた場合は合算3度目で退場
※捕手で2度受け、走者で1度受けても合算はせず、退場にならない
◎「コリジョンルール」一部変更 捕手登録少なく守備側は警告3度で退場 (スポニチアネックス2016年3月25日 09:25)より
新ルール導入を受け、開幕前には評論家、解説者、市井の野球ファンらが「野球が変わる」と口酸っぱくしました。
審判団がキャンプ中の各球団をまわる説明行脚が行われましたが、オープン戦の頃から、グレーゾーンの判定も目立ちました。
確かに新ルールでは捕手はブロックをできませんから、走者が有利になると予想されました。
評論家の西本聖氏もこのように申しており、ゴロゴーでの3塁走者生還やスクイズでの得点などが増えるのでは?という下馬評でした。
西本氏 間違いなく野球が変わると思います。これまでアウトだった本塁でのクロスプレーが100%近くセーフになるからです。
-具体的には
西本氏 無死、または1死で三塁に走者がいる場合、内野ゴロで得点が入りやすくなります。捕手はブロックできません。ホームベースの一角を空けないといけないので、どうしても追いタッチの形になる。逆を言えば内野手は今まで以上に正確なスローイングが要求されるわけで、かなりのプレッシャーがかかると思います。
◎コリジョンルールで野球が変わる/西本聖氏に聞く (日刊スポーツ2016年3月22日9時10分)
では、実際、どのくらい得点が入りやすくなったのか?
コリジョンルール導入がもたらした得点増は何点分なのか?
そのこと幾つかのデータをもとに検証してみたいと思います。
まずは、こちらの表をご覧ください。
前年比0.28得点増こそ、コリジョンルールで増えた得点だ
こちらは、2013年~2016年までのパリーグにおける、OPS平均値の推移と1試合平均得点の変遷を表にまとめたものになります。
御覧頂いたとおり、極端な投高打低が是正された2013年以降、リーグの得点環境は、例年、判を押したかのような同推移でした。OPS平均値は.702~.708の間に収まり、1試合平均得点も4.01~4.02です。
その前の、あまりにも飛ばない統一球導入の2年間はOPSは.656~.658、1試合平均得点は3.41~3.37の推移でしたから、この3年間の安定したリーグ環境を再確認できるかと思います。
しかし、今年、まだ4月を終えた時点(正確には5月1日終了時)というサンプルの少なさは考慮にすべきでしょうが、「変化」が生じています。
例年と比べてやや低いリーグ平均OPSは誤差の範囲内だと思います。今後是正され、例年どおりに落ち着くかと思われます。一方、1試合平均得点は前年比0.28得点の増加になりました。
この0.28得点。正直ピンと来ませんが、143試合の単純換算だと、各球団約40得点アップ。リーグ全体では年間240得点増えることになります。
1試合で増えたこの0.28得点の正体こそ、コリジョンルールの影響で増えた得点と言ってよいでしょう。
というのも、パリーグの環境は昨年とほとんど変わりませんから。楽天のkoboスタ宮城が天然芝に生まれ変わり、西武プリンスドームの人工芝が新しくなりましたが、リーグ全体で見ればその影響たるや微々たるもの。ソフトバンクがヤフオクドームにホームランテラスを新設した2015年のリーグの得点環境は、前述したとおり前年とほぼ同推移でしたから。
ちなみに参考までに、飛ばなさすぎる統一球が是正された2013年の得点は、前年比566点増の3477得点になりました。そのため、この年間240得点増加ペースという衝撃は、より身近に感じられるかと思います。
次に、もっと細かく、局面ごとのデータを確認してみたいと思います。
2塁走者の本塁生還率をチェックしてみましょう。
走者2塁(満塁、3,2塁、2,1塁を含む)、打者の外野単打で2塁走者がホームインできた比率になります。
2塁走者本塁生還率は前年比4%UP
昨年の4月30日終了時ではリーグ平均64.3%だった本塁生還率は、今年の同時点で68.4%。約4%の上昇になりました。この数字、4月中旬に確認したときには70%を越えておりました。
球団別の数字を見ると、随分とバラつきがあります。劇的に上昇したのがロッテと楽天。逆にダウンしてしまったのが日本ハムと西武。前年同推移はソフトバンク、オリックスと三者三様。これは置かれた状況、走者の能力はむろんのこと、首脳陣の性格や作戦方針も影響しているものと思われます。
例えば、楽天の真喜志三塁ベースコーチは、コーチャーズボックスの中で、かなり攻める指示を走者に送っています。石橋を叩いて渡るのがお好きな監督さんなら、新ルール導入のメリットを頭では理解していても、いざ実戦ではなかなか思い切った采配を振るえず・・・ということはありそうです。
コリジョンルール導入のため、今季は同状況で2塁走者の本塁突入を阻止すべく外野からの直接・間接問わずバックホームが随分と減った印象を持っています。今季の楽天戦で両軍合わせて同状況でバックホームが実施されたのは、わずかに2度だけ。本塁返球で憤死した2塁走者はゼロになっています。
本塁返球が減り、外野返球が内野中継止まりが増えた背景には、本塁返球間に打者走者に二進されるのを嫌ったという側面は大きいかも。本塁でタッチアウトできず、打者に2塁まで進まれてしまったら元も子もありません。守備側にしてみれば厳しい新ルールの導入で、本塁で刺す確率は下がったのだから、リスクを抱えて本塁に投げるよりも、打者走者を1塁にとどめて次なる失点回避に動きたい。そういう狙いがあるものと思われます。
さて、この各球団別の2塁走者本塁生還率、今後も追いかけていきたいと思います。
次に、犠飛数を比較してみましょう。
これも、今季は浅めの外野フライでも、外野手の送球が逸れることを期待し、積極的にタッチアップにくるケースが増えるのでは?と指摘されていました。
前年比118%増になった犠飛数
こちらも球団別ではバラつきがありますが、リーグ全体では39本から46本へ増えています。
そう言えば、ロッテ・ナバーロの好走塁には驚かされました。
まさか遊飛で3塁からタッチアップ、本塁生還するとは驚かされます。
最後に、内野ゴロ時に3塁走者がホームに帰ってきた数を見てみましょう。
ここで言う内野ゴロとは狭義の意味の他、併殺崩れの内野ゴロも野選がついた内野ゴロも含まれます。(エラーは対象外)
前年比184%増の内野ゴロ三塁走者生還数
こちらは6球団中、ソフトバンク、西武、オリックス、楽天の4球団で前年増になりました。リーグ全体では前年比184%UPです。
今季は例年以上の内野前進守備を敷いて勝負にいくか、もしくは3塁走者の1点は諦めてそれ以上の失点を防ぐかの両極に分かれてきている印象を受けます。
例年以上の内野前進守備といえば、開幕戦のkoboスタ宮城で見せたソフトバンク内野陣が印象に残っています。内野陣は芝生の部分に足を踏み入れるほどの前進守備でした。
コリジョンルール導入での得点増加が推測されるシーンは他にもあります。
例えば、二塁打での1塁走者本塁生還率やスクイズでの生還数なども挙げられます。
それらを含めると、確かにチリツモで年間40得点増にはなりそうなイメージが湧いてきます。
以上をまとめると、リーグ平均OPSは変わらない中、コリジョンルール導入により、1試合平均得点は前年比0.28増になった。年間ペースで各球団40点の増加、リーグ全体では240点増える計算になる。2塁走者の本塁生還率、犠飛数、内野ゴロでの3塁走者生還数も前年を上回っており、新ルールがもたらした「変化」は無視できないものになっている、と言えそうです。
セイバーメトリクスでは10点=1勝分の価値とされていますから、年間で各チーム約40点増のペースは、かなり大きいと言えるでしょうね。
セリーグは皆さん各自でお調べ下さい。こちらからの報告は以上です。
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