【2018総括】 OPS.686は2013年以降の最高値。藤田一也を復活させた梨田楽天の日替わりオーダー
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◎コテコテの巨人ファンがナベツネ教を脱会し、東北楽天ゴールデンイーグルスに一目惚れしたその理由
今年の楽天を振り返るとき、指揮官の采配に疑問を持つことが大変多かったと思う。
よく指摘されるのが、開幕から猫の目のように変わり続けたスタメンだ。
平石洋介監督代行就任後、「1番・田中和基、2番・茂木栄五郎、3番・島内宏明、4番・今江年晶、5番・銀次、6番・アマダー」と打線をほぼ固定したことで、チーム状態も上向いたこともあり、猫の目打線は梨田楽天低迷の主要原因の1つとされた。
藤田一也も、そんな梨田楽天の日替わりオーダーの犠牲者だ。
そう感じるファンは多いはずだ。
今年の藤田は久々に元気だった。
OPS.686は、キャリア通算.636を上まわるもの。
楽天では移籍年の2012年.700に続く、2番目に高い値を記録になった。
シンクタンクDELTAによれば、各々の打席結果に得点価値を加えて算出されたセイバー系の打撃指標wOBAでも、2014年以降ではキャリアハイの.312をマーク。
出塁率.324もイーグルス移籍後では自己最高と、8月に左肋骨の骨挫傷を負ったものの、久々にベテランが生気を取り戻したシーズンになった。
ところが、なのだ。
久々に元気だった藤田の出場機会は思うように伸びず、90試合どまり。
与えられた打席数も289、これらは移籍年の2012年を除くと、楽天ではキャリア最少だったのだ。
今年、それまで藤田の定位置だった二塁は、銀次との併用が多くなった。
二塁スタメン数は、藤田63、銀次49、渡辺直人11、山崎剛11、西巻賢二6、村林一輝3という内容。
併用された銀次は、春先からバッティングの調子が上がらず、開幕前の対外戦で打率.116。
シーズン開幕しても3・4月の打率.232と、なかなかエンジンがかからない状況だった。
一方、藤田は開幕前に打率.400を残し、順調な仕上がりぐあい。
開幕後も3・4月にチームNo.1の打率.280をマーク。
ほぼほぼ全員が打率低迷し、チーム打率も.216に終わった3・4月において、一人気を吐く存在だった。
にもかかわらず、、、(下記表参照)
■藤田一也 2018年3・4月の打撃成績
※ピンク網掛け=スタメン
上記表のとおり、3・4月の26試合中、藤田のスタメンは11試合どまり。
一方、銀次はスタメン22試合で出場。(二塁15、一塁6)
不調銀次の先発数が好調藤田を大きく上回った。
当時、これには、ぼくもかなり憤慨した。
チーム状況が良好ならまだしも、チームは低迷しっぱなし・・・
そのなか、得点能力が上がらない銀次を使うメリットはどこにある!
好調の藤田を使ってくれ!と何度思ったことか。
でも、今から振り返れば、この起用法があったからこその藤田復活だったと思う。
一見納得いかない起用法が、久々に藤田が元気を取り戻すきっかけを作った。
OPS、wOBAで良い成績を残すことができた大きな原因も、このパッと見で不可解な起用法にあったと思うようになった。
藤田の昨年と今年の起用法を調べると、わかったことがある。
それは、今年はスタメン4日連続以上の出場がゼロだったという点だ。
昨年は6/7~6/11までスタメン5日連続出場が1度。
9/7~9/10と10/1~10/4、スタメン4日連続出場も2度あった。
ところが、今年はそういったケースは1度もない。
最大でもスタメン3日連続起用だ。
背景には、今年36歳を迎え、加齢との全面戦争に突入している藤田に、連戦日程&出っ放しによる蓄積疲労を回避したいという首脳陣の意図があったのだろう。
なるべくヘルシーな状態でプレーさせたいという狙いがあったはずだ。
実際、藤田の打撃成績を起用別で算出してみると、以下になった。(下記参照)
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■起用法でみる藤田一也2018年打撃成績
◎「観る野球から考える野球へ。選手がノートを持ってノムさんの講義を受けるみたいな感覚が常にあるメルマガです。こちらを読むようになってから、本棚に野球の関連本が増えました」(東海在住40代男性さん)
OPS、打率ともに「スタメン1日目」の数字が一番良く、その後「途中出場」「スタメン2日目」「スタメン3日目」になっている。
連戦日程でスタメン連続出場が続けば続くほど、成績が下がる明確な傾向があった。
そのため、梨田昌孝監督も平石洋介監督代行も、藤田のスタメンが何日も続くことがないよう、相手先発の左右も考慮しながら、休場日や途中出場日を織り混ぜて上手くコーディネイトしていたのでは?と思うのだ。
次に藤田の月別成績を確認してみよう。
■藤田一也 2018年 月別 打撃成績
久々に元気を取り戻した今年の藤田だが、なかでも好調をみせたのは5月だった。
キャリア通算OPS.636のベテランが、今年5月はOPS.788を記録した。
5月は59打席に立ち、驚くことに三振ゼロ。
一方、四死球は7を数えるなど、5月は出塁率.365を記録した。
5月23試合中、藤田は19試合と、ほぼほぼ出場。
しかし、スタメン3日以上の連続起用はゼロ。
5/11・5/12、5/15・5/16、5/26・5/27と最大でもスタメン2日連続だった。
また、今季は打率.229に終わった左投手との対戦も5月は少なかった。
5月59打席中、左投手打席はわずか8打席に抑えられていた。
5月OPS.788という好成績は、疲労や苦手を考慮して起用した首脳陣のサポートがあったからこそと言えるのだ。
そこまでして藤田のコンディションに配慮したのは『現時点では藤田は代替の効かない二塁手』だったからだろう。
来年は浅村栄斗がいるが、今年はいなかった。
今年はチーム状況もあり、村林や西巻、山崎など若手も多く起用された。
しかし、彼らには1軍での経験に乏しく、シーズンの長丁場を戦う術もスタミナも持ち合わせていなかった。
ポスト藤田を期待された三好匠は今年も期待を裏切る伸び悩み。
併用された銀次も今年は守備でも精彩を欠いた。
昨年は二塁で2.9のUZRを残したが、今年は-7.8と著しく悪化する始末。
そのため、年齢を重ねたとはいえ、ベストナイン2度、ゴールデングラブ3度の藤田の存在は必要不可欠だったのだ。
もし藤田に故障などで戦線離脱されたら・・・
イーグルスはもっと悪い結果に終わっていたことだろう。
首脳陣もそのことをよく分かっていたからこそ、こういった起用法になった。
結局、8/3ロッテ戦(●E1-2M)の走塁で左肋骨の骨挫傷を負い、約1ヵ月の戦線離脱になった。
しかし、開幕直後からフルで起用していたら、疲労でパフォーマンスを下げてOPS.686という数字は残せなかっただろうし、もっと早い時期に故障していた可能性もあると思うのだ。
不可解に見える日替わりオーダーも、こと藤田に関してはプラスに作用したということなのだ。【終】
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久々に元気を取り戻した今年の藤田一也
◎コテコテの巨人ファンがナベツネ教を脱会し、東北楽天ゴールデンイーグルスに一目惚れしたその理由
今年の楽天を振り返るとき、指揮官の采配に疑問を持つことが大変多かったと思う。
よく指摘されるのが、開幕から猫の目のように変わり続けたスタメンだ。
平石洋介監督代行就任後、「1番・田中和基、2番・茂木栄五郎、3番・島内宏明、4番・今江年晶、5番・銀次、6番・アマダー」と打線をほぼ固定したことで、チーム状態も上向いたこともあり、猫の目打線は梨田楽天低迷の主要原因の1つとされた。
藤田一也も、そんな梨田楽天の日替わりオーダーの犠牲者だ。
そう感じるファンは多いはずだ。
今年の藤田は久々に元気だった。
OPS.686は、キャリア通算.636を上まわるもの。
楽天では移籍年の2012年.700に続く、2番目に高い値を記録になった。
シンクタンクDELTAによれば、各々の打席結果に得点価値を加えて算出されたセイバー系の打撃指標wOBAでも、2014年以降ではキャリアハイの.312をマーク。
出塁率.324もイーグルス移籍後では自己最高と、8月に左肋骨の骨挫傷を負ったものの、久々にベテランが生気を取り戻したシーズンになった。
藤田一也は干されたのか?
ところが、なのだ。
久々に元気だった藤田の出場機会は思うように伸びず、90試合どまり。
与えられた打席数も289、これらは移籍年の2012年を除くと、楽天ではキャリア最少だったのだ。
今年、それまで藤田の定位置だった二塁は、銀次との併用が多くなった。
二塁スタメン数は、藤田63、銀次49、渡辺直人11、山崎剛11、西巻賢二6、村林一輝3という内容。
併用された銀次は、春先からバッティングの調子が上がらず、開幕前の対外戦で打率.116。
シーズン開幕しても3・4月の打率.232と、なかなかエンジンがかからない状況だった。
一方、藤田は開幕前に打率.400を残し、順調な仕上がりぐあい。
開幕後も3・4月にチームNo.1の打率.280をマーク。
ほぼほぼ全員が打率低迷し、チーム打率も.216に終わった3・4月において、一人気を吐く存在だった。
にもかかわらず、、、(下記表参照)
■藤田一也 2018年3・4月の打撃成績
※ピンク網掛け=スタメン
藤田復活の背景にあった首脳陣の上手い起用法
上記表のとおり、3・4月の26試合中、藤田のスタメンは11試合どまり。
一方、銀次はスタメン22試合で出場。(二塁15、一塁6)
不調銀次の先発数が好調藤田を大きく上回った。
当時、これには、ぼくもかなり憤慨した。
チーム状況が良好ならまだしも、チームは低迷しっぱなし・・・
そのなか、得点能力が上がらない銀次を使うメリットはどこにある!
好調の藤田を使ってくれ!と何度思ったことか。
でも、今から振り返れば、この起用法があったからこその藤田復活だったと思う。
一見納得いかない起用法が、久々に藤田が元気を取り戻すきっかけを作った。
OPS、wOBAで良い成績を残すことができた大きな原因も、このパッと見で不可解な起用法にあったと思うようになった。
藤田の昨年と今年の起用法を調べると、わかったことがある。
それは、今年はスタメン4日連続以上の出場がゼロだったという点だ。
昨年は6/7~6/11までスタメン5日連続出場が1度。
9/7~9/10と10/1~10/4、スタメン4日連続出場も2度あった。
ところが、今年はそういったケースは1度もない。
最大でもスタメン3日連続起用だ。
背景には、今年36歳を迎え、加齢との全面戦争に突入している藤田に、連戦日程&出っ放しによる蓄積疲労を回避したいという首脳陣の意図があったのだろう。
なるべくヘルシーな状態でプレーさせたいという狙いがあったはずだ。
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■起用法でみる藤田一也2018年打撃成績
スタメンが続けば続くほど成績は下落
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連戦日程でスタメン連続出場が続けば続くほど、成績が下がる明確な傾向があった。
そのため、梨田昌孝監督も平石洋介監督代行も、藤田のスタメンが何日も続くことがないよう、相手先発の左右も考慮しながら、休場日や途中出場日を織り混ぜて上手くコーディネイトしていたのでは?と思うのだ。
次に藤田の月別成績を確認してみよう。
■藤田一也 2018年 月別 打撃成績
環境に恵まれ、5月は好成績
久々に元気を取り戻した今年の藤田だが、なかでも好調をみせたのは5月だった。
キャリア通算OPS.636のベテランが、今年5月はOPS.788を記録した。
5月は59打席に立ち、驚くことに三振ゼロ。
一方、四死球は7を数えるなど、5月は出塁率.365を記録した。
5月23試合中、藤田は19試合と、ほぼほぼ出場。
しかし、スタメン3日以上の連続起用はゼロ。
5/11・5/12、5/15・5/16、5/26・5/27と最大でもスタメン2日連続だった。
また、今季は打率.229に終わった左投手との対戦も5月は少なかった。
5月59打席中、左投手打席はわずか8打席に抑えられていた。
5月OPS.788という好成績は、疲労や苦手を考慮して起用した首脳陣のサポートがあったからこそと言えるのだ。
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しかし、開幕直後からフルで起用していたら、疲労でパフォーマンスを下げてOPS.686という数字は残せなかっただろうし、もっと早い時期に故障していた可能性もあると思うのだ。
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