〔惜別〕楽天戦力外2012──中村真人。Crazy bad ball hitter 杜の都を湧かせた稀代のトリックスター

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あのおマメさんが、クリムゾンレッドのユニフォームを、脱ぐ・・・

完全ボール球をも天性のバットさばきでヒットにしてしまう打撃センスから、漫画ドカベンになぞらえて岩鬼と呼ばれたこともあった。

人気者だった。開幕前、地元・仙台の有志が後援会を立ちあげた。さあ!これから!という矢先だった。

チーム1のいじられキャラでもあった。今年は聖澤のブログをおマメさんがジャック。お汁粉を飲むなど、ファンを笑わせるのが上手かった。

フィールドの中でも外でも、予測がつかないのだ。そこがこの人の最大の魅力だった。

楽天の育成枠で初めて成功をつかんだ選手でもあった。


■中村真人 年度別 打撃成績



■打率、OPSの年度別推移、リーグ平均との比較
左表が打率、右表がOPS。赤線がリーグ平均、青線が中村真人



それにしても、戦力外とは・・・非常に残念な思いだ

ここまでの成績を振り返ると、確かに数字上は目立つものはない。規定打席には1度も到達していないし、打率も3割を超えたシーズンがない。OPSにいたってはリーグ平均レベルの選手もしくはそれ以下という力量だった。

ここまでレギュラーではなく準レギュラー、控えとしてプレーしてきた。今後も主力としての活躍は難しいことは、容易に想像ができる。

しかし、数字が当てにならない、数字に収まらない、常識で判断できない、それがこの人だった。

稀代のトリックスターとして、何かをやってくれそうな雰囲気は、今なお十分に持っていると思う。

私が指揮官なら、劣勢に立たされたチームの雰囲気や流れを変えたい時、起用してみたくなる筆頭候補である。今季は苦しんでしまったが、来季も準レギュラー、左の代打という位置づけで十分に1軍戦力になってくれるはずだと思っていた。

そのため、8/21エントリ「楽天イーグルス、星野監督が考える粛清人員整理リスト2012。来季戦力外候補の顔ぶれを予想してみた?!」にも、当然、中村真人の名前を載せることはしなかった。

うーむ、、、返す返すも、ああ、、、残念なのだ

さて、おマメさんといえば、バンダイのオンラインゲーム『プロ野球オーナーズリーグ』では特殊能力「両極打法」とされているあの悪球打ちである。

やっぱり、最後は、悪球打ちの数々のエピソードを振り返って、その惜別としたい。

というわけで、youtubeを探索してみたら、こんな映像集があった。

16打席の悪球打ちをまとめた2分50秒の力作だ。断り書きにもあるように、幾つかストライクゾーンをヒットにしているシーンもある (^_^;)

映像編集者にリスペクトの意を表し、まずはこの映像集とともに振り返ってみたい。


悪球打ち・中村真人~crazy bad ball hitter~



1:2011年5/18Kスタでの巨人戦(●E4-6G)、右本。vs金刃憲人

序盤に2点の先制を許していた楽天。打線は巨人先発・金刃の打たせて取る好投に、ゴロアウトを量産。味方打線の打球がとにかく上へ上がらないという状況で迎えた、2点を追う6回裏1死1塁だった。カウント2-1から3球ファウルで粘って、2-2からの第7球。金刃憲人の見逃せばボール球という高め速球を完璧に叩いた。ザ・大根切り! 痛烈な飛球はそのまま右翼席前方へ一直線の弾丸ライナー同点弾に。

中村「ど真ん中来ました~~!!」
平石「どこがや!お前、こんなんなってひっくり返っとったぞ!ボール見てないやんか!」
本西コーチ「ナイスストライクゾーン!」
平石「お前、なんや、あの中途半端なガッツポーズは!?」
中村「ガッツポーズはまだ同点なんで、消極的に・・・。逆転ならもう少し大きく行きます」
聖澤「マメさん、面白いコメントをお願いします!」
広報「で、コメントは?」
中村「良いところで打てて良かったです・・・」
(球団オフィシャルサイトより)


2:2009年6/2Kスタでの阪神戦(〇E3-2T)、中安。vs久保康友

1点勝ち越されて1-2となった直後の4回裏、チャンスを作った楽天は憲史の同点打で追いつくと、嶋がつなぎ、1死満塁。0-2と追い込まれてからの3球目、低めワンバウンドしそうなインロー寄りの138キロ速球を巧くバットに乗せてセンター前へ! 三走悠々ホームインして、これがこの試合の決勝打に。球団オフィシャルサイトいわく「“宇宙人”の一打」。

「ワンバウンド以外で、芯に当たるならどこでも振ろうと思っていました。ダメな考えですがぁ・・・、自分の能力を信じて打ちに行きました!! う~ん、見逃せるボールだったんですがぁ・・・、気持ちで打ちました!! 度からは、ストライクゾーンを打てるように頑張ります(笑)。」


3:2009年10/17、クライマックスステージ、Kスタでのソフトバンク戦(○E4-1H)、左安。vsホールトン

0-0で迎えた先制点攻防の4回裏2死3,1塁、2-1からのアウトコース4球目、142キロ速球を捉えて左前先制タイムリー。この外角球はストライクゾーンの球で、悪球打ちではない。


4:2009年6/20甲子園での阪神戦(〇E5-2T)、遊安。vs江草仁貴

5点をリードした4回表、2死走者なし、0-2と追い込まれていたが、アウトコース低め寄り、ストライクからボールゾーンへの127キロ変化球を叩きつけるバッティング。バウンドが江草の左をふわっと越えてショート・鳥谷前方へ。追うサードが捕りきれず、バックアップのショートが処理して1塁へ送球も、一足先に1塁を駆け抜けてセーフ!


5:2012年6/14Kスタでのヤクルト戦(●E1-3)、左安。vsバーネット

1-3と2点ビハインドでの9回裏2死走者なし。中島の代打で起用され、1-2からの外角高めの球を打ち返していく。窮屈そうにみえたバッティングも、しっかり弾き返した。打球はショートをこえて左前へ。このボールもストライク球で、いわゆる悪球打ちではないが、おマメさんらしいヒッティングである。


6:2011年8/24札幌ドームでの日本ハム戦(〇E5-2F)、右安。vs糸数敬作

楽天は初回、先頭・松井のヒットを皮切りに相手先発・糸数から好機を作ると、横川、ガルシア、おマメさんの適時打で一挙4点を先制。おマメさんの打席は1死3,1塁でまわってきた。糸数の初球、インハイの見逃せばボールだったかもしれないクサい球をスイング。詰まった飛球もバットをしっかり振りきったこと等もあり、右前へポテンのタイムリーヒットに。

「詰まっていいところに落ちてくれました。つまり・・・、いつまりです。 ※「偽り」とかけてダジャレを言おうとしたようです」


7:2011年10/5札幌ドームでの日本ハム戦(〇E3-1F)、右安。vsダルビッシュ有

ダルビッシュ相手に井坂が好投した22回戦である。2-1と1点僅差のリード、追加点が欲しい8回表の攻撃だった。先頭ガルシアがヒットで出塁、無死1塁でおマメさんはバントで手堅く得点圏に走者を進めていこうというシーン。しかし、1-0からの第2球だった。バントの構えからバットをひいてヒッティング! ひっぱった痛烈な当たりが一ニ塁間を破り、右前へ抜けていく鮮やかなバスターが成功! その後の追加点につながった。 ただ、この球もボールではなく高めストライク。日本No.1エースだったダルとの相性は良く、その通算対戦成績は26打数8安打6三振3四球1三塁打の.308を記録した。


8:2012年4/6京セラドームでのオリックス戦、左安。vs金子千尋

1-0と1点リードした4回表の先頭、1-2、アウトコースぎりぎり厳しい所を突かれた130キロ変化球も、上手く流し打って三遊間を破る左前安打出塁。


9:2009年10/3Kスタでの西武戦(〇E13-5L)、中安。vs長田秀一郎

8-3と大量5点リードの6回裏、先頭としてバッターボックスに入り、カウント1-1からの3球目、インロー縦のスライダーを弾き返し、打球はセカンド左を抜けて中前へ。なお、この試合、楽天が苦手としてきた帆足を完全攻略し、クライマックスシリーズ進出を決めた歴史的な試合である。


10:2011年5/5ヤフードームでのソフトバンク戦(〇E4-0H)、右中ニ。vs岩崎翔

1回表、聖澤がニ盗を決めて1死2塁で3番に据わったおマメさんに打席がまわってきた。2-2からの膝元141キロ速球をタイミング良くすくい上げた飛球は詰まりながらも右中間、センター右に着弾する先制決勝タイムリーに。

「詰まりました。ありがとう、詰まってくれて」

※ベンチに帰ってきて田淵ヘッドコーチとのハイタッチを空振り、そのまま通り過ぎたため、先輩選手達から「しっかりやれ!」「オマエ調子のんな!(笑)」と野次られる。その後、中村選手が田淵ヘッドのいるところへ行き、田淵ヘッドは「もう少し、ゆっくりハイタッチしてくれよ・・・」と寂しそうな表情でハイタッチ。 (球団オフィシャルサイトより)


11:2011年6/25西武ドームでの西武戦(〇E9-1L)、中犠飛。vs松永浩典

内村の適時打で1点を追加。リードを3点とし、その後も1死3,1塁という場面。1-2からのインサイドの変化球をすくいあげの一撃はセンターバック。タッチアップには飛距離十分の犠牲フライになっている。


12:2012年6/13Kスタでのヤクルト戦(●E5-6L)、右越ニ。vs増渕竜義

1回裏、2死走者なし、1-1からの144キロ速球。インローに投げ切りたかった球が上ずって高め(これはストライクゾーン内)に入ったところをバット一閃。飛球はライト・バレンティンを越え、ウォーニングゾーン内に着弾する悠々のツーベースに。


13:2011年9/24Kスタでのソフトバンク戦(〇E8-0H)、左翼ニ。vs大場翔太

3回裏だった。内村のランニングホームランが飛び出して1点を追加、リードが2点になった直後の打席。2-2からの高めボール気味の速球。左翼ポール際、ウォーニングゾーン付近を襲来する飛球を、追うレフト・内川も及ばずのツーベースに。


14:2009年6/14Kスタでの横浜戦(〇E9-0YB)、左安。vs三浦大輔

1回裏、2死走者なし、2-2からの131キロ高めの甘い変化球を捉え、流し打ちレフト前へのシングルヒット。


15:2009年5/27ナゴヤドームでの中日戦(●E2-3D)、左安。vs小林正人

2-3と1点ビハインド。1点を追う土壇場9回表の攻撃。1死2塁で代わったばかりの四番手・小林正人を打つ! 2-2から外いっぱい厳しい128キロスライダーを及び腰ながらもバットに当て、三塁線を破っていく好機拡大のシングルヒット。


16:2012年5/28神宮でのヤクルト戦(○E7-1S)、左本。vs小野寺力

4-0と4点リードの6回表1死2,1塁のチャンス。1-2からのアウトコース高めボールゾーンに流れていく変化球だった。見逃せば完全にボールである。その球を叩いていったおマメさん。打球は左翼ポール付近を襲う大飛球。ビデオ判定の後、ホームランに。トリックスターに相応しい一撃だった。恐らく楽天イーグルスの選手による初のビデオ判定ホームランではないだろうか。ちなみに左翼ポール際に入れたホームランといえば、2009年5/25敵地での横浜戦の初回先頭打者ホームランも思い出される。


悪球打ちの名を轟かせたウエストボール決勝犠飛

この他にも、幾つか補足していきたい。

悪球打ちのベスト5を選ぶとすれば、2009年5/20、田中将大と凱旋登板となった由規の投げ合いとなったKスタでのヤクルト戦(○E2-0S)は絶対にランクインしてくる。

スコア0-0の投手戦が続いていた6回裏、楽天は先制のチャンスを迎えていた。1死満塁で7番・おマメさん。0-2からの第3球、ヤクルトバッテリーがスクイズを警戒してウエストしにかかった高めの完全ボール球である。その球にくらいついていってレフト後方の飛距離はタッチアップには十分の先制決勝犠飛!

「真っ直ぐだったら、クソボールだろうと何だろうと打とうと思っていました。何となくストレートな気がしたんですよね。もし、スライダーとかフォークだったら、ボクの能力でカットしてやろうと思っていました。高めでも、ワンバンでも打ったろうと思って、がっつきまくりました! 」

この一撃で、悪球打ち・中村真人の名前が全国に知れ渡るようになった、そう私は記憶している。


「まあ...ど真ん中が打てないんで、僕は(笑)白いボールにくらいつこうと必死にいきました」

2011年8/2西武戦(○E4-1L)。塩見の2度目完投勝利に大きく貢献する2点適時タイムリー二塁打は中村の芸術的な打撃から誕生した。涌井との投げ合いで1-1で迎えた6回表、打線が遂に涌井を攻略。高須のヒットで1点を勝ち越すと、その後なおも2死3,2塁という好機で、7番・おマメさん。

2-1からの4球目。捕手は外角に構えるも内角に入ってきた球だった。

しかし決して打てるシロモノではない。膝元に大きく沈む縦のスライダーで他打者ならかなりの確率で空振りを喫してしまうコース。これを鮮やかな悪球打ちで左中間を襲うミラクルショットに!!

お立ち台で「やはり、というのもちょっとおかしいですけれども、見逃せばボールという難しい球でしたよね?」との問いに応じたおマメさんの暴投のコメントが印象的だった。

ダルビッシュからナイスショットの悪球流し打ち

2011年8/6Kスタでの日本ハム戦(●E3-6F)。ダル相手に以外にも序盤健闘をみせたイーグルスだった。序盤のヒメネスの好投、ガルシアの先制2ランなどで2点先制。しかし、それも束の間、直後の5回表にエラーもかさなりヒメネス炎上で5失点。

鬱屈した重たい雰囲気が球場を覆い尽くしていた裏の攻撃に、稀代のトリックスターが溜飲を下げる一撃をダルに見舞ってくれた。

2死2,1塁、1-2と追い込まれてからの4球目、ダルの見逃せば外角高めボールとなったストレートだった。この球を力負けせず、完璧なタイミングで弾き返していく。打球はダイビングキャッチにいくショートの先を抜けていく左前タイムリーとなった。


サッチーと抱き合った9回2死満塁でのサヨナラ打!

悪球打ちではなかったかもしれないが、CS目指して戦っていた2009年9/6Kスタでの日本ハム戦(○E4x-3F)の9回裏2死満塁でのサヨナラヒットも印象深い。建山義紀から打った飛球はセンター後方を襲う。追う糸井も及ばずのサヨナラヒットで、Kスタは歓喜の渦となったが、ヒーローインタビューが終わった後だろうか、球場脇の通路内にいたサッチーとおマメさんが抱き合って喜んでいたシーンを今なおよく憶えている。(CS放送の中継が抱き合ったシーンで終わったから(笑))

プロ初安打は、止めたバットに当たった左前テキサスヒット

そういえば、肝心なヒットをまだ記していなかった。2008年7/1盛岡でのロッテ戦(○E7-2M)。7番・中堅でプロ初スタメンしたメモリアルな試合の2回裏1死1塁、プロ初打席で清水直行からプロ初安打をマーク。なんとなんと!止めたバットにボールが当たりながらも、左前にポテンと着弾したフライヒットという、トリックスターに相応しい門出になっていた。

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それにしても、この惜別エントリの出来に、満足がいかない私である。できれば、中村が放った216本のヒットと6本の犠飛を逐次調べ上げ、悪球打ちの全記録を作成したかった。イーグルスの魅力を記録やデータで語る当ブログの真骨頂をみせたかったのだが、いかんせん、本格的にデータを取り始めたのが2010年からだったこともあり、断念した(ガクッ!)

おマメさんにとってボール球がストライクに、ストライクがボール球に見えていた。wikipediaによれば、明らかなストライク球の判定にも判定不服そうな態度を取っていたことがあったという。一般にバッターのホットゾーンであるストライクゾーン真中は、彼にとって打ちづらいコースだったのだ。

本当に真中が苦手なのか?

本当に真中が苦手なのか? この疑問を1年前に検証してみたことがある。結果、ストライクゾーン真中の球に対し、他のバッターよりもバットを振りにいく頻度が少なく、一般に打者の弱点といわれているアウトコース低めの球に手を出す頻度が高かったことが確認されている。

◎関連エントリ>〔検証〕悪球打ちの天才、マメの愛称で親しまれる楽天・中村真人選手は、本当に真中の球が苦手なのだろうか?(2011.12.27)

ボール球への高い対応力

wikipediaをみると、高めのウエスト球を犠飛にしたり、ワンバンしそうな球をヒットにしたりと「らしさ」が炸裂した2009年、そのボールゾーン打率は.228だったという。また、下記エントリで調べたように、2011年のボールゾーン打率も高く.232を残していた。

ボールゾーンコンタクト率も驚異的で、2011年は72.8%を叩き出していた。これは同年の楽天選手の中で最高値だった。

◎関連エントリ>〔記録〕「悪球打ち」の真骨頂、データでも証明されてます!──楽天イーグルス・中村真人選手2011年ボールゾーン・スイング率(2011.12.25)


「取ってくれるところがあれば野球を続けたい」。

戦力外の通告を受けた中村は、地元・河北新報の取材に対し、こう答えたという。

この規格外の個性を、これっきりにしてしまうのは、大変もったいない。

他球団の編成関係者に、ぜひ獲得の検討をしてもらいたい!

トリックスターが暴れるのに十分なフィールドを、シーンを用意してやってほしい。

お願いします!m(_ _)m


◎◎◎惜別─楽天戦力外2012◎◎◎
◎草野大輔──夢を諦めない。天才バットマンが挑戦した三十路からのプロ野球人生
◎下柳剛──夢、成らず・・・ パリーグ最年長投手、楽天を退団
◎本西厚博──イーグルスの外野守備を、より一段上へ引き上げた功労者
◎山村宏樹──「燻し銀」というフレーズが似合うベテラン右腕でした
◎川岸強──杜の都で輝きを放った「雑草魂」
◎有銘兼久──私の中ではスーパーリリーフサウスポーでした
◎岩村明憲──それでも私が岩村に淡い期待を寄せてしまうその理由

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読書感想文を書きました>『セイバーメトリクス ・マガジン1』
“考える野球好き”は今オフ必読の1冊です。コチラで読書感想文を紹介しております
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〔記録〕楽天イーグルスきってのトリックスター、中村真人選手、2011年最も印象に残った打撃ベスト5。vs全投手別の対戦成績表を掲載

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このエントリを始める前に、昨日、中村真人選手の後援会設立に向けて準備室が発足した。気になる方はTwitterやfacebook内で検索してみてください。

中村選手の打撃成績まとめ4回目(過去3回のエントリは最下位の関連記事を参照)は、全投手別の打撃成績と最も印象に残った打撃ベスト5である。

中村真人 2011年 月間打撃成績
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昨年はブラウン監督と方針の違いで衝突、故障などもあり1軍出場僅か26試合にとどまった中村だが、今季は星野監督の下、見事復活を成し遂げてみせてくれた。

開幕1軍切符を獲得、5月に入るとスタメン出場も増え月間打率.323を記録した。7/8に一旦抹消されるも後半戦開幕の7/26に再登録、以降、シーズン終了まで1軍でプレー、終わってみれば打率は2009年の.270を1厘上回る.271をマークすることに。

統一球の影響などでリーグ平均打率が.019下がる状況での数字だから、従来のイメージで言えば.290から3割近く打っていた印象になってくる。

今季は91試合に出場したが、スタメンは74試合、全て左翼で起用された。代打からの出場が12試合、代走からは4試合、守備からの出場は1試合という内訳である。

数々の悪球打ちでぼくらを魅了した打撃ばかりに目がいきがちだが、守備も持てる範囲の力を出していた。補殺は聖澤の6を上回る8を記録した。

先発出場した74試合の打順内訳を確認すると、3番が10試合、5番が24試合、6番が15試合、7番が14試合、8番が9試合、9番が2試合で、決して中軸を担うような打者ではないが、チーム事情などもあり、好調の中村がクリーンアップを34試合担った。

盗塁が0に終わった点は少々残念だが、キャリアハイの2009年と肩を並べる活躍ぶりで、中村が契約更改を1度保留した気持ちは、十分理解できるものだった。

来季もそのトリックスターぶりをいかんなく発揮して1軍戦力に貢献してほしいところだ。

ただ、中村は相手先発が左腕の時に先発起用されることが圧倒的のため、来季もそのような起用をされると思われる。
現在、楽天の外野手は11人在籍しているが、レギュラーに近いほうから並べると、下記図のようになるのではないか?



中村の代打打率は09年.286(7-2)、10年.214(14-3)、11年.091(11-1)とあまり芳しくないが、「何か」をしてくれる雰囲気はチームトップクラスであるため、貴重な代打の切り札としての活躍も増えそうだ。いずれにせよ、来季も「らしさ」を全面に出したプレーをみせてほしい!


2011年、中村真人選手のカモ、カモられ

対戦7打席以上を打率で振り分けると下記のようになった。

〔好相性〕
ダルビッシュ有・・・打率.333 (15打数5安打2打点、3三振、3四球)
西勇輝・・・打率.333 (15打数5安打2打点、3三振、1内野安打)
渡辺俊介・・・打率.500 (10打数5安打2打点、1四球、1二塁打、1三塁打)
ホールトン・・・打率.500 (6打数3安打2打点、1三振、1死球)
ケッペル・・・打率.333 (6打数2安打、1四球、2犠打)
攝津正・・・打率.400 (5打数2安打、1三振、2四球、1二塁打)

〔悪相性〕
涌井秀章・・・打率.167 (12打数2安打3打点、1三振、1四球、1二塁打)
金子千尋・・・打率.000 (10打数0安打、2三振、1四球、1犠打)
岸孝之・・・打率.143 (7打数1安打、2三振)

好相性にホールトン、ケッペルといった敵軍の外国人先発投手を打っていることから判るように、外国人打者との対戦打撃成績の合計も良かった。31打数10安打4打点の打率.323を記録している。(ミンチェ対象外。朴賛浩対象)





2011年、中村真人選手の最も印象に残った打撃ベスト5

規定打席未満のため、打撃ベスト5とした。


◆THE 悪球打ち! まさかまさかの大根切りホームラン!

今季も数々の悪球打ちでぼくらを魅了してきた中村だが、5/18巨人戦で放った2011年唯一の本塁打は、その中でもまさに群を抜く規格外だった。巨2-0楽と2点を追う6回裏1死1塁でこの日の2打席目がまわってくる。3回ファウルで粘った後の2-2からの7球目だった。高め釣り球を要求した阿部のミットそのままに金刃が投じた見逃せばボールのストレート。これをまさに大根切りの要領で完璧に叩いてみせる一撃! 白球は鋭いライナーとなって右翼スタンド最前列に飛びこんでいく同点2ランとなった。ベンチに帰ってきた中村は開口一番、「ど真ん中来ました~~!!」
◎この映像はこちらのyoutubeでご確認下さい。0:49からです。


◆まあ...ど真ん中が打てないんで、僕は(笑)白いボールにくらいつこうと必死にいきました

8/2西武9回戦。塩見の2度目完投勝利に大きく貢献する2点適時タイムリー二塁打は中村の芸術的な打撃から誕生した。涌井との投げ合いで1-1で迎えた6回、打線が遂に涌井を攻略。先頭・内村が四球出塁し高須のヒットで1点を勝ち越すと、その後なおも2死3,2塁という好機で、7番・中村。2-1からの4球目。捕手は外角に構えるも内角に入ってきた球だった。しかし決して打てるシロモノではない。膝元に大きく沈む縦のスライダーで他打者ならかなりの確率で空振りを喫してしまうコース。これを鮮やかな悪球打ちで左中間を襲うミラクルショットに!! お立ち台で「やはり、というのもちょっとおかしいですけれども、見逃せばボールという難しい球でしたよね?」との問いに、上記のコメントが印象的。
◎この映像はこちらのyoutubeでご覧下さい。6:35からです。ヒーローインタビューは2:02からです。


◆ダルビッシュからみごとな悪球流し打ち!

Kスタでおこなわれた8/6日本ハム12回戦。楽天打線の前に立ちはだかったのはダルビッシュだった。しかし、序盤のヒメネスの好投、ガルシアの予想外?の先制2ランなどで楽天が2点先制リードする。だが、それも束の間、直後の5回表にエラーもかさなりヒメネス炎上で5失点。鬱屈した重たい雰囲気が球場を、ファンの心を覆い尽くしていた裏の攻撃に、稀代のトリックスターがファンの気持ちに応えるかのような打撃をみせてくれた。2死2,1塁、1-2と追い込まれてからの4球目、ダルの見逃せば外角高めボールとなったストレートだった。この球を力負けせず、完璧なタイミングでレフト前に弾き返すタイムリーヒット! この一撃が対戦成績に流れを呼びんだか、今季ダルから打率.333、出塁率.444を記録。
◎この映像はこちらのyoutubeでどうぞ。1:26からです。


◆いつまり?のヒット?!

球団タイ記録となった8/20ソフトバンク戦~8/27ソフトバンク戦の7連勝。この快進撃に貢献したヒットといえば、8/24日本ハム16回戦、初回のタイムリーヒットが思い出される。立ち上がり不安定だった相手先発・糸数を楽天打線が早々に攻め立て、3点をもぎ取った後の1死3,1塁だった。初球の内角高めの、恐らくこれも見逃せばボールだろうというクサイ球をバット振り抜き、フライになった打球は詰まりながらもライト前のへポトリと落ちる「らしさ」ある泥臭いタイムリーに。ベンチに帰ってきて「詰まっていいところに落ちてくれました。つまり・・・、いつまりです」。どうやら「偽り」とかけてダジャレを試みようとするもこちらは不発?に終わるコメントを残してくれた。
◎この映像はこちらのyoutube映像でご確認ください。3:20からです。


◆同一カード3連勝で3位をキープする、左翼フェンス直撃の貴重なタイムリースリーベース!

敵地QVCで行われた9/4ロッテ18回戦である。ちょうどこの時期はオリックスと激しい3位争いを展開していたイーグルス。1、2戦勝利を収め同一カード3連勝がかかった1戦だった。楽天は3回に1点を先制すると、5回にもサブマリンを捉えて3点を奪う。山崎の適時打で1点を追加すると、その後2死2,1塁から中村による一撃が2点を追加する適時打となった(楽4-0ロ)。渡辺俊が投じた外角の打ちごろのチェンジアップを見事に叩いて、打球は背走するレフト・伊志嶺の頭上を超え、左翼フェンス直撃弾! ちなみに中村のフェンス直撃弾は今季3本あり、そのうちの1本だった。結局、ロッテの得点が3点止まりだったので、中村のバットが返した2打点が勝敗を分けるかたちになった。
◎この映像はこちらのyoutube映像でどうぞ。4:49からです。ヒーローインタビューは最初からです。


《予告》明日更新予定の次回エントリは、E聖澤諒選手XBs金子千尋投手withG澤村拓一投手の信州人プロ野球選手チャリティトークショーの概要をまとめる予定です。

【終】


■楽天イーグルス 中村真人 2011年 投手別 対戦成績

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◎◎◎関連記事◎◎◎
〔記録〕「悪球打ち」の真骨頂、データでも証明されてます!──楽天イーグルス・中村真人選手2011年ボールゾーン・スイング率
〔記録〕悪球打ちを配球図から探る!──楽天イーグルス・中村真人、2011年、ゾーン・コース打率、球種打率
〔検証〕悪球打ちの天才、マメの愛称で親しまれる楽天・中村真人選手は、本当に真中の球が苦手なのだろうか?

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〔検証〕悪球打ちの天才、マメの愛称で親しまれる楽天・中村真人選手は、本当に真中の球が苦手なのだろうか?

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昨日のエントリ

〔記録〕悪球打ちを配球図から探る!──楽天イーグルス・中村真人、2011年、ゾーン・コース打率、球種打率

からの続き。

「悪球打ち」の天才、中村真人選手はよく「ど真中が打てないんで、僕は(苦笑)」とコメントする。今季も8/2西武戦に貴重な追加点となるタイムリーを打って上がったお立ち台で、そのように苦笑交じりで答えていた。

しかしだ、前回エントリで確認したように、ストライクゾーンど真中のゾーン打率は、打数は少ないながらも11打数5安打の.455というきわめて高いアベレージを残していた。

いったい、ぜんたい、中村選手は、本人が言うように、ど真中の甘い球を苦手としているのか? それとも、ゾーン打率のデータが示すとおり、実は打てるのだろうか?

という疑問に少しでも近づくべく、こんな調査をおこなった。

今季、相手投手は中村選手にストライクゾーン真中に何球投げたのか?

中村選手に投げられた真中の球は、他選手と比較すると多いのか?少ないのか?

そのうち、中村選手はどのくらいの頻度や割合でバットを振りにいっていたのか?

バットを振りにいって、バットに当たった割合、ファウルになった割合、空振りした割合はどうなのか?

真中を打って(ファウル等にならずフィールド内に球が飛んで)打席結果が出たのは12打席(※1犠飛含む)あった。中村選手の全247打席のうち、12打席は4.2%の割合になるが、この割合は他選手と比べると、多いのか?少ないのか?

そこで、こんな表を作成してみた。



この表は各打者が、絶好の甘い球とされる「ストライクゾーン真中の球」に対して、どのような対応をしたのか?を診るものである。

ここで言う「ストライクゾーン真中の球」とは、下記配球図の、水色で網掛けにしたストライクゾーンの真中、濃い青で網掛けした箇所をさす。

20111227DATA2.jpg

聖澤選手を例に挙げて、表の見方を説明してみよう。

対戦投手が聖澤選手に投げた球数は全2203球。そのうちストライクゾーン真中は90球を記録した。割合にすると全球数の4.1%に当たる。この割合を表の「真中割合」とした。

真中に投げられた90球のうち、聖澤選手がバットを振りにいったのが66回あった。90球の73.3%に当たる。これを表のスイング率とした。

バットを振りにいった66回のうち、36.4%に当たる24回がファウルになり(表の「ファウル率」)、6.1%に当たる4回が空振りになった(表の「空振り率」)。

表の「コンタクト率」とは、ファウルに、凡打、安打、犠打、犠飛など打席結果が出たものの合計で、とにかくバットに球が当たった割合を示している。真中の球は90球あり、そのうちバットを振りにいった66回。実際バットに球が当たったのは62回で93.9%を記録した。

表の「真中打席割合」は、真中の球で結果が出た打席数が、全打席に占める割合を表している。聖澤選手の今季打席数は559だが、真中の球で打席結果が出たのは42打席、559打席の7.5%を占める、という意味だ。

「真中打率」は上記のストライクゾーン真中を打った時のゾーン打率である。

これを計算式で表すと下記のようになる。

スイング数=空振り数+コンタクト数
コンタクト数=ファウル数+ファウルにならずフィールドに飛んで打席結果が出た数
真中割合=真中の球数÷全球数
スイング率=スイング数÷真中の球数

ファウル率=ファウル数÷スイング数
空振り率=空振り数÷スイング数
コンタクト率=コンタクト数÷スイング数
真中打席割合=真中打席数÷全打席数



ご本人が仰るとおり、データ上からも「真中」が苦手であることが伝わってきます

というわけで、中村真人選手だ。

対戦投手が中村選手に投げた球数は全1124球。そのうち真中は49球あった。これは1124球の4.4%に当たる。他打者と比較すると、この数字は平均的と言えそうだ。

次にスイング率をみる。65.3%を記録した。真中にきた49球のうち65.3%に当たる32回でバットを振りにいった。この率は表中10選手のうち3番目に少ない数字で、他打者と比べると手を出していく割合は少ないと判断できる。

ファウル率は53.1%だった。バットを振りにいった32回のうち、53.1%に当たる17回はファウルになった。このパーセンテージは表中でルイーズ選手の60.0%に続く多さを記録。甘く入った真中の球を65.3%の割合で振りにいくも、そのうち約半分はファウルになっていた、ということなのだ。

空振りする頻度も多い気がする。バットを振りにいった32回のうち4回は空振りをしていた。空振り率にすると12.5%で、二桁越えは10選手中4人だけなのだ。

バットを振りにいってバットに球が当たったコンタクト率を確認すると、87.5%である。これは表中では8番目、やはり、他打者より少ないと言える。

真中打席割合の4.2%も明らかに少ない。


苦手意識があるからこそバットを振りにいかない。打席結果が増えない





通常、真中の球は打者にとって「待ってました!」の絶好球だ。投手が投げた頻度(表の「真中割合」)よりも、打者がバットを振って打席結果につなげた頻度(表の「真中打席割合」)のほうが多くなるのが、通常の傾向のはずだ。

どういうことか?というと、上記図で説明しよう。ストライク内の各ゾーンに投手がそれぞれ3球、合計27球投げたとする。打者は9回バットを振って(ファウルや空振りにならず)全て打席結果になったと設定して考えてみたい。

左図の打者Aは、それぞれのコースで満遍なく1回打ちにいっている。甘い球である真中も、最も打ちにくいとされる外角低めも、巧みなバットコントロールが必要とされる内角低めも...それぞれ1回打ちにいった。この場合、表でいう「真中割合」は27球のうち3球だから11.1%になる。一方「真中打席割合」は9打席のうち1打席のためこれも11.1%になって、両値はイコールになる。

右図の打者Bは、打ちにくい内角低めと外角低めは手を出さず、その分、ヒットになる確率の高い真中の3球を全て打ちにいった。この場合「真中割合」は打者Aと同じ11.1%も、「真中打席割合」は9打席のうち3打席となり33.3%となった。

一般的な打者心理として、打者Aと打者Bどちらを選択するか?といえば、多くの打者はヒットになる確率が高い打者Bを迷いなく選ぶだろう。打者Bは甘い球を逃さず仕留めることができた好打者という評価になる。

その観点で言えば「真中割合」より「真中打席割合」が多い打者Bタイプは、松井稼選手、高須選手、内村選手、ガルシア選手、草野選手、横川選手、岩村選手と言えそうだ。中でもただ1人二桁割合(10.0%)を記録した内村選手は特筆すべきで、内村選手は真中の球をどの打者よりも多く打ってヒットを稼いでいたということになる。

一方、「真中割合」と「真中打席割合」がほぼ同じとなる打者Aタイプは、中村選手、ルイーズ選手だ。真中の球をあまり打ちにいかないということは振りにいっても良い結果に結びつかないという潜在意識が働いているからと言えそうで、中村選手の苦手意識がしっかり垣間見えてくる。

ちなみに、中村選手はストライクゾーン外角低めで打率.395を残した。一般に打者が最も打ちづらいとされるコースだ。この「外角低め球の割合」は10.2%を記録したが、「外角低め打席割合」はそれより多く、全打席の13.8%を占めた。これは中村選手が外角低めを多く打ちにいっていた証拠であり、他打者にとっては難しいストライクゾーン外角低めのコースは、中村選手にとっては絶好球であり、確実に打ちにいっていたことを裏付ける1つのデータだ。


中村選手のデータをまとめると、こう言えるはずだ。

中村選手はストライクゾーン真中の球に対して、本人が語るように苦手意識を感じている。このことは数字上からもはっきり伺える。

他打者にとっては絶好球である真中も中村選手には苦手球であるため、バットを振りにいく頻度が他打者と比べて少ない(スイング率65.3%)。その少ない頻度の中でバットを振りにいったとしても、他打者よりも多くファウルを打たされるかたちになっている(ファウル率53.1%)。これは差し込まれているのか?始動が早すぎなのか?は判らないが、とにかくタイミングが合っていない証拠で、空振りをする比率も高い。

ファウルを打たされ空振りも多いから、打ちにいっても良い結果にならない。だから、バットを振りにいくのを渋る結果となり、スイング率が低くなっているとイメージできる。

他打者は真中を打ってヒットを稼ぐ中、中村選手にその傾向は見られない。そのため、真中で記録した打席数は、中村選手より全体の打席が86少ない岩村選手のほうが多かった。(中村12、岩村14)

苦手意識を感じながらバットを振りにいって真中で打率.455を残した中村選手だが、上記のことから、結果として高い率を残してはいるが居心地の悪さを憶えているはずで、本人にとっては絶好球の外角低めで記録した打率.395のほうが、よっぽどしっかりとした手応えを感じていることだろう。

慣れないことをして結果が良いものになったとしても、それを偶然と判断する人間も多くいる。その是非はともかくとして、中村選手と真中の関係はこの典型例だと思う。

こういうふうにまとめることができるはずだ。


さて、最後に、簡潔ながら他打者についても目についた部分を触れておきたい。

まずはルイーズ選手。真中の割合は他打者が4%台の中、明らかに少ない2.5%を記録した。先のエントリ「〔記録〕弱点を徹底して突かれてしまった典型例」でルイーズ選手は相手投手にボール球ばかりを投げられていたと書いたが、同様のことがここでも言える。つまり、絶好球で長打の危険性を多くはらむ真中のゾーンに、相手投手が投げてくる頻度はきわめて少なく、上手く研究されていたという印象になってくる。

真中の球に対してバットを振りにいく「スイング率」。この値が中村選手よりも低いのが高須選手だ。62.5%を記録した。しかし、中村選手と違うのは、バットを振りにいく頻度は下回るも、ファウルになる割合は少ない点だ(高須26.4%、中村53.1%)。空振りも少なく、一方コンタクト率が高い。つまり、ひとたびバットを振りにいくと、しっかり球を捉えてフィールド内に飛ばしていた、まさに「仕事をしていた」という印象になってくる。スイング率が低いのは、コースや球種を読んで打っているからでは?と想像できるのだ。

真中に甘く入った球に対してとにかく積極的にスイングしていったのが、86.2%の横川選手と84.8%の岩村選手だ。しかし、スイングしにいった後の結果は少々異なる。横川選手がファウルや空振りにならずにしっかり球を捉えてフィールド内に飛ばし打率.529の好記録を残したのに対し、岩村選手は捉えきれずにファウルや空振りする回数も多かったと言える。

【終】

◎◎◎関連記事◎◎◎
〔記録〕悪球打ちを配球図から探る!──楽天イーグルス・中村真人、2011年、ゾーン・コース打率、球種打率
〔記録〕「悪球打ち」の真骨頂、データでも証明されてます!──楽天イーグルス・中村真人選手2011年ボールゾーン・スイング率


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〔記録〕悪球打ちを配球図から探る!──楽天イーグルス・中村真人、2011年、ゾーン・コース打率、球種打率

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中村真人選手の2011年打撃成績まとめは、昨日の下記エントリに続いて2本目である。

〔記録〕「悪球打ち」の真骨頂、データでも証明されてます!──楽天イーグルス・中村真人選手2011年ボールゾーン・スイング率

今回は、ゾーン・コース打率、球種打率を取り上げてみたい。


■全体
打率.271、247打数67安打、1本塁打、35三振、19四球

20111226DATA4.jpg


中村選手は今季91試合に出場、そのうち74試合でスタメン出場をしたが、相手先発が右投手のときに先発起用されることが圧倒的に多かった。イーグルスが左腕先発投手と対戦したのは45試合あったが、そのうち中村選手が先発出場したゲームは、月間打率.323と好調だった5月の交流戦を中心に僅か8試合にとどまっている。

そのため、下記に対戦投手の左右別も掲載したが、ここでは上記全体図を用いて見ていきたい。


悪球打ち」の天才、中村選手の真骨頂はボール球でも好球必打でヒットにしてしまう点にある。前回エントリで確認した通り、今季イーグルス主要選手の中でボールゾーン打率は.232とハイアベレージを記録していた。これは好活躍をみせた2009年の.228を上回る。統一球で平均打率が約2分下がった中での.232だから、従来のイメージで言えば、ボール球でも2割5分ぐらいは打っていたのでは?そんな印象になってくるのだ。

高めボール球、低めボール球でも結果を残す中村選手!

というわけで、ボールゾーンの中でも、中村選手ならではのホットゾーンがあるはずだ。どのゾーン・コースのボール球を最も打つことができているのか?を確認してみたい。

すると、、、上記図のとおり、「高め」「低め」では「高めボール球」(=図の最上段)に強いことが判る。7打数5安打、2本の二塁打に、大根切り打法で生まれた今季唯一の本塁打もココから飛び出している。8/6日本ハム戦でダルビッシュから打ったタイムリーヒットもココの球を打ったものだった。

では、「低め」はどうか?と目を移してみると、「低めボール球」(=図の最下段)の打率は.167だった。「悪球打ち」のイメージに反して悪い数字なのでは?と捉えがちだが、あながちそうとはいえず。

下記の通り、他選手と比較すると、率が高いことが確認できるのだ。


●「低め」ボールゾーン打率
草野大輔・・・打率.235、34打数8安打、12三振
内村賢介・・・打率.194、36打数7安打、18三振
中村真人・・・打率.167、36打数6安打、15三振
松井稼頭央・・・打率.100、80打数8安打、40三振
聖澤諒・・・打率.091、55打数5安打、37三振
ガルシア・・・打率.067、30打数2安打、27三振
岩村明憲・・・打率.067、15打数1安打、13三振
横川史学・・・打率.063、16打数1安打、13三振
山崎武司・・・打率.028、36打数1安打、32三振
ルイーズ・・・打率.000、25打数0安打、23三振


最も打ちにくいとされる外角低めでハイアベレージ!

次に、一般的に打者がストライクゾーンの中で最も打ちにくいとされている「外角低め」を確認してみよう。野村元監督が投手の原点能力と呼んでいるアウトローだ。

下記の通り、ココでも中村選手の特徴が最も顕著になっている。ストライクゾーン外角低めの打率はビックリの.395というハイアベレージなのだ。

中村選手に続いて高い率を残した横川選手はローボールヒッターのため、この数字も頷けるところ。同じく低め打ちが芸術的に上手い松井選手は「外角低め」では率を残せていないが、二塁打を6本も記録している。

●ストライクゾーン内「外角低め」打率
中村真人・・・打率.395、38打数15安打、5三振
横川史学・・・打率.368、19打数7安打、2三振
内村賢介・・・打率.276、29打数8安打、6三振
聖澤諒・・・打率.250、56打数14安打、10三振
岩村明憲・・・打率.250、26打数6安打、3三振、1二塁打
草野大輔・・・打率.211、38打数8安打、4三振、1二塁打
ガルシア・・・打率.231、26打数6安打、9三振
山崎武司・・・打率.196、51打数10安打、7三振、2二塁打、1本塁打
ルイーズ・・・打率.190、21打数4安打、5三振、2二塁打
松井稼頭央・・・打率.159、82打数13安打、7三振、6二塁打


まあ、ど真ん中が打てないんで、僕は(苦笑)

中村選手のタイムリーヒット後の談話や、ヒーローインタビューでのコメントをみていると、よく「ど真中が打てないので」という発言を耳にすることがある。

今季も塩見vs涌井の投げ合いとなった8/2西武戦の6回2死3,2塁、涌井投手が投じた内角低めの見逃せばボールの難しい縦スライダーを、芸術的なショットで外野の間を抜く2点タイムリーツーベースを打ち、試合後、お立ち台で上記のように発言していた。

しかしだ、上記のゾーン・コース打率の図で確認すると、ストライクゾーンど真中では11打数5安打の打率.455という好成績を残している。

実際は、ストライクゾーン真中の球もしっかり打てている?ということだろうか?

今季、中村選手相手に対戦投手はストライクゾーン真中に何球投げたのか?

中村選手に投げられた真中の甘い球は、他選手と比較すると多いのか?少ないのか?

そのうち、中村選手はどのくらいの頻度や割合でバットを振りにいっていたのか?

バットを振りにいって、バットに当たった割合、ファウルになった割合、空振りした割合はどうなのか?

真中を打って(ファウル等にならずフィールド内に球が飛んで)結果が出たのは12打席(※1犠飛含む)あった。中村選手の全247打席のうち、12打席は4.2%の割合になるが、この割合は他選手と比べると、多いのか?少ないのか?

という疑問を調べてみた。これは次回エントリで。【終】


■vs右投手
打率.271、221打数60安打、0本塁打、31三振、18四球
20111226DATA2.jpg
20111226DATA5.jpg


■vs左投手
打率.269、26打数7安打、1本塁打、4三振、1四球
20111226DATA3.jpg
20111226DATA6.jpg


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引き続き、打者がどのくらいの割合でボール球に手を出しているか?を確認するボールゾーン・スイング率の話。

今回は、この企画を最も面白くしてくれそうな「悪球打ちの名人」中村真人選手を取り上げてみたい。

昨年はブラウン監督との方針と中村選手の持ち味がバッティングすることとなり、いわゆる干されてしまったかたちになったが、指揮官が星野監督に代わった今季は、一昨年のような好活躍を魅せてくれた。

後日「最も印象に残った打撃ベスト」企画を中村選手でも行う予定だけれど、特に強烈な印象を残した打撃といえば、Kスタで開催された5/18巨人戦、6回1死1塁での打席だ。


■大根切りホームランは0:49秒からです



2-2からの金刃投手が投げた7球目、見逃せば完全にボールだった高めのストレートだった。この超・悪球を大根切り打法で叩いて、ライトスタンドに運ぶ同点1号2ラン!!! 中村選手の数ある悪球打ちの中でもひときわ際立つ打席で、こんなの、漫画の世界だけでしょ(笑)と思わずツッコミを入れたくなる場面だった。

さて、まずは、選球眼を確認する表を作成したので、御参照いただきたい。





IsoD以外の指標はリーグ平均を上回っている。交流戦に入る5/14ロッテ戦まで56打席四球が無いのが懸念されたが、終わってみれば、四球を選びとる頻度を表す「PA/BB(打席÷四球)」ではリーグ平均より良い値を記録した。

三振も少なく、リーグ平均が5.53打席に1個という三振ペースに対し、中村選手は8.09打席。これは規定打席到達者内のパリーグ「PA/K(打席÷三振)」ランキングでみると、7位・本多雄一の8.12、8位・川崎宗則の7.80の間に位置する。楽天の中でも高須の12.10、草野の8.56、銀次の8.43に続く良い成績になっていた。

さて、ボールゾーン・スイング率を確認してみたい。


■全体:22.2%
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中村選手のそれは22.2%を記録していた。これをここまで調べてきた選手と比較すると下記のようになる。ちょうど真中に位置しており、ボール球を打ちにいくというイメージからすれば、逆に手を出しにいく頻度は少ないのでは?σ(^_^;)という印象も、持ってしまう。


●ボールゾーン・スイング率〔全体〕
・ルイーズ・・・36.3%
・聖澤諒・・・26.4%
・松井稼頭央〔左打席〕・・・25.5%
・ガルシア・・・24.8%
・松井稼頭央〔右打席〕・・・23.9%
・内村賢介〔左打席〕・・・23.1%
・中村真人・・・22.2%
・横川史学・・・19.4%
・岩村明憲・・・19.1%
・草野大輔・・・17.2%
・内村賢介〔右打席〕・・・16.6%
・高須洋介・・・16.0%


「高め」「低め」別にみると、「低め」ボール球に手を出しにいく割合は多いと言えそうだ。


●高めボールゾーンのスイング率
・ガルシア・・・42.7%
・聖澤諒・・・30.5%
・横川史学・・・23.8%
・岩村明憲・・・23.8%
・中村真人・・・22.7%
・高須洋介・・・19.6%
・内村賢介〔左打席〕・・・19.0%
・松井稼頭央〔左打席〕17.1%
・草野大輔・・・16.6%
・ルイーズ・・・14.8%
・松井稼頭央〔右打席〕13.5%
・内村賢介〔右打席〕・・・4.9%


●低めボールゾーンのスイング率
・ルイーズ・・・52.0%
・松井稼頭央〔右打席〕37.3%
・松井稼頭央〔左打席〕36.2%
・内村賢介〔左打席〕・・・29.7%
・中村真人・・・27.7%
・聖澤諒・・・27.1%
・岩村明憲・・・23.8%
・内村賢介〔右打席〕・・・23.5%
・ガルシア・・・21.4%
・草野大輔・・・20.7%
・高須洋介・・・18.0%
・横川史学・・・18.8%


さてさてさて!!

中村選手の特徴が最も顕著になるのが、ボール球に手を出しにいってバットに当たった割合を診る「ボールゾーン・コンタクト率」だ。

中村選手は驚異の72.8%という、とんでもないパーセンテージを残してくれた!!

ボール球を10回スイングしにいったら7回は当てているという計算。これは下記のとおり、もちろん、チームトップの値になっていた。


●ボールゾーン・コンタクト率
・中村真人・・・72.8%
・内村賢介〔右打席〕・・・66.7%
・内村賢介〔左打席〕・・・66.0%
・草野大輔・・・64.6%
・高須洋介・・・60.5%
・聖澤諒・・・58.4%
・松井稼頭央〔右打席〕・・・55.2%
・松井稼頭央〔左打席〕・・・53.1%
・岩村明憲・・・47.2%
・ガルシア・・・40.5%
・横川史学・・・32.3%
・ルイーズ・・・20.4%


2ストライクと追い込まれてしまってからのボールゾーン・スイング率はどのようになっているだろう?


■2ストライク以降:44.6%
20111224DATA8.jpg


中村選手は全体では22.2%とまずまずの数字だったが、追いこまれてしまうと44.6%と高い数字を記録していた。しかし、同時に、追いこまれてからのボールゾーン・コンタクト率は72.9%という高い数字を維持していた。

追い込まれてしまうと、ボール球に手を出しにいく頻度は倍近く上昇するも、7割はバットに当てており、空振りしてしまうケースのほうが少ないのだ。


●2ストライク以降のボールゾーン・スイング率とボールゾーン・コンタクト率
・ルイーズ・・・スイング率47.0%、コンタクト率31.9%
・聖澤諒・・・スイング率46.7%、コンタクト率・・・現在調査中
・中村真人・・・スイング率44.6%、コンタクト率72.9%
・松井稼頭央〔左打席〕・・・スイング率41.9%、コンタクト率49.4%
・草野大輔・・・スイング率40.4%、コンタクト率63.9%
・松井稼頭央〔右打席〕・・・スイング率39.4%、コンタクト率58.0%
・内村賢介〔左打席〕・・・スイング率39.1%、コンタクト率65.6%
・ガルシア・・・36.9%、コンタクト率46.1%
・岩村明憲・・・スイング率32.3%、コンタクト率47.5%
・高須洋介・・・スイング率31.4%、コンタクト率67.8%
・内村賢介〔右打席〕・・・スイング率27.3%、コンタクト率66.7%
・横川史学・・・スイング率23.2%、コンタクト率34.0%


最後に、ボールゾーン打率をチェックしてみたい。

中村選手のWikipediaをみると、プレースタイルの項目に「2009年にはボールゾーン打率.228を残すなど」(12/25現在)という表記がある。はたして今季はどうだったのか?


■楽天イーグルス主要選手 2011年 ボールゾーン打率
20111224DATA6.jpg


上記のように、楽天の主要選手の中では最も高いアベレージを残していた。3本の二塁打、1本の本塁打とボール球を打って長打も出ている。ご覧のように、この人の“持ち味”、今季はいかんなく発揮されていた、と言えそうだ。

「悪球打ち」なのにボールゾーン・スイング率は極端に高くはない22.2%。しかし、ボール球をひとたび打ちにいくと、結果を残す。ということから考えると、むやみやたらにボール球に手を出しているというわけではないのだ。

中村選手自身もよくコメントするように、恐らく中村選手は、ボール球の中でも好球必打をおこなっていると思われる。【終】


■中村選手のボールゾーンでの安打履歴
試合展開=0・・・0-0、リ・・・リード、同・・・同点、ビ・・・ビハインド
球種=Ch・・・チェンジアップ、St・・・ストレート、Sl・・・スライダー、Cut・・・カットボール、Fo・・・フォーク



◎5/4ソフトバンク戦での「中安」映像はこちらのyoutubeで1:04からです。

◎8/2西武戦での「左中ニ」映像はこちらのyoutube映像でどうぞ。6:35からです。

◎8/6日本ハム戦での「左安」映像はこちらのyoutube映像でどうぞ。1:26からです。

◎8/13ロッテ戦での「右安」映像はこちらのyoutube映像でどうぞ。7:03からです。

◎8/24日本ハム戦での「右安」映像はこちらのyoutube映像でどうぞ。3:21からです。


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